ヌン茶ラー日記

見せもんじゃねえぞ

ルポタージュ・浜川崎〜工業地帯と俺とパパ〜

やあやあみなさん。私である。さて、激動の一週間だった。わかる人にはわかるだろうがレスバというのは体力を使う。大人や警察に頼って司法に頼ることも出来るのだろうが、そんなことはしてやらない。ヌルい。もちろん助けも求めさせない。ここは無法地帯で私は自警団である。


物騒な導入となってしまったが、これはガリバー旅行記と張る名文である。今日はGW中に行った京浜工業地帯の話をする。もうGWはが遠い昔のことのように思えるのは私だけだろうか。私は鶴見線という路線が大好きである。鶴見線というのは鶴見駅から乗車可能なローカルな路線である。鶴見線の中でもいくつか終点があり路線の枝分かれが見られるが、調べれば分かることはここには書かない。ヌン茶ラー日記はいつだって不親切である。私は中学校時代、電車に乗って知らないところへ出かけることが好きだった。お金を払えばどこへでも行ける、駅は無限のロマンのスタート地点だった。ということで何度も鶴見線の浜川崎という駅を訪ねてはいるのだが、母に何気なく「浜川崎行ってくるね」と伝えたところ「川崎なんて物騒で無法地帯なところパパと一緒に行ってきて‼️パパ‼️行ってきてあげて」とのことである。ちなみにママという女は横須賀で育っている。父は前の記事でも紹介したとおり喫茶店が好きで評判の喫茶店がない場所にわざわざ出掛けたりしないため、もちろん浜川崎には行きたくは無さそうだった。しかし、娘が高校生になっても一緒に出掛けてくれることにこの男は感謝すべきなのだ。たとえそこが無人駅で工場しか無かったとしても。こうしてあてのない旅は幕を開けた。

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この浜川崎商店、Twitterで調べてみると美味しいお刺身を頂けたりするらしいのだが、私は運が悪いのか開いているところを見たことがない。降り立った私たちは早速駅の周辺を徘徊した。いわゆる何も無いってやつである。だが、昭和の息吹を感じさせるレトロを沢山発見した。f:id:menheralevel73:20210518094158j:plain

私も父もあの人気神アニメAKIRAが大好きでバイクを見ると血が騒いでしまう。ここら辺はバイクの整備をしてくれるお店が多いようでもう大騒ぎである。ひとしきり盛り上がった後、父は最近頻尿をこじらせているためトイレを求めてきた。鶴見駅で行ってきたではないか。ここまで40分も経っていない。私はそこら辺の草むらで済ませることを勧めたが、この父は妙なところが温室育ちなため躊躇っている様子。仕方ないので昼ごはんを挟んでそこでトイレを貸していただくことにした。




浜川崎駅の駅前には先程の商店以外の店は無いようだが、少し歩くと美味しいつけ麺屋さんがあるらしい。なるほど、行ってみようとしばらく歩いているとこんなものを発見した。f:id:menheralevel73:20210518094834j:plain

墓石を持たない新しいお墓の形を提案する霊園となんだか消息不明なゲームセンターのご登場である。もちろんこの2つの施設に関連性はないのだろうが、墓石を持たない新しいお墓の形というのは後ろのゲームセンターで電脳人間にされることで達成されるのではないか。人間は死んだらどんな形になってどこに行き着くのか。思わず深く考え込んでしまい、歩道に座り込みスケッチブックを取り出して私はゾーンに入ってしまった。トイレを求める可哀想な50代男性などもう目に入らなかった。そしてそのまま20分ほど経過したが、その間に父はコンビニを見つけて用を足しATMでお金を下ろしてきたらしい。常にこんな調子である。私はゾーンから解放されたので、立ち上がった。そしてまた父と歩き始めるとお墓の入口にたどり着いた。そこにはお墓を経営している法人などの情報が書かれていたが、父は目ざとく「ソフィア」という文字を発見した。この父、某ソフィア大学出身である。母校愛が強いためにソフィアという言葉に敏感で、メールアドレスにまで入れている始末である。だがしかし、この墓は多分父の大好きなソフィアの仲間ではない。ここで父がゾーンに突入しそうな空気を感じたため、死んだらここに埋めてあげるよと告げて引っ張ってつけ麺屋をまた目指し始めた。自分は勝手にゾーンに入るが他人が入ることはうざったいので絶対に許さない。これが私である。大半の読者は今ここでつけ麺屋のことをやっと思い出したはずだ。しばらく歩いていると閑静な住宅街や小学校など人の営みが感じられる場所に入ってきた。ここの住宅街は高級車の所有率が高く、隠れお金持ちの町?!と2人ではしゃいでいた。すると、目的地のつけ麺屋が見えてきたでは無いか!f:id:menheralevel73:20210518100238j:plain

並びすぎである。私たちは行列に並ぶのが大嫌いである。金にものを言わせてファストパスを買おうとしたがここにはないらしい。美味しいと評判のお店なので非情に残念だったが諦めて近くの焼肉屋に入ることにした。f:id:menheralevel73:20210518100452j:plain

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食いすぎである。父は焼肉セットに加えて私の手より一回り以上大きい皿に盛られたビビンバをガツガツと食べていた。こんな姿を目の前で見せられてしまったので食欲が減退してしまい、私は焼肉セットに加えてハーフのビビンバにアイスくらいしか食べられなかった。残念である。


お腹を満たしたらまた放浪再開である。今度は浜川崎から昭和という駅を目指して歩くことにした。昭和という駅はあの昭和電工から名前を貰った駅である。辺り一体は京浜工業地帯を感じさせる重化学工業の工場が並んでいる。一本道をひたすら歩いていると、後ろから苦しそうな息遣いが聞こえてくる。振り返ると、自転車の後ろにバナナ入りの箱を括り付け、必死に漕ぐおぢがいた。彼はパシリなのだろうか。我々が道の脇に寄ると、ぺこりと頭を下げてくれて苦しそうに先を急いでいた。この日は結構日差しが強く、無事バナナを届けられるように父と見送りながら緩やかな斜面を登っていくと遂に広大な運河が現れた。f:id:menheralevel73:20210518224759j:plain 

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浅野運河である。ここは私立の浅野高校を作った人が爆誕させたらしい。とても大きい。そしてコンテナ船などがのんびりとてきぱきと航行していて、これが川崎の「雅〜MIYAVI〜」である。最高の気持ちになってしまった。父も「あのコンテナ船、火付いたらかなりやばそうだね」とまあ興味を持ってくれていた。



そしてしばらく歩くと、昭和駅の手前で工場で働いているであろうおぢに話しかけられた。どこから来たのか〜やなんの仕事をしているか〜などを父に質問した後、なんだか2人は仲良くなってしまった。おぢは工場に入り冷蔵庫を探ると鬼殺しを出してきて父に渡した。そして昼間から乾杯の儀式である。私もしたいところだったが、ムカデを3匹見つけたので片っ端から潰していくことにした。鬼は殺せないのでムカデ殺しである。


30分くらいおぢと漫談したあと、バスが来るというので昭和駅の写真を撮り川崎行きのバスを待った。

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私と父は意外と分かり合えるのでたまによく分からない場所に出かけては時間を共有する。私は父のことなんて何も分からないし私がきっとどんな人間かも父は理解していないだろう。しかし、2人で出かけた思い出は尊いものだと確信している。いつか父と鬼殺しを飲みたい。多分私の方が飲むので。


WWW抗鬱切れた、さようなら。